「人間は生後1~2年間に経験したことはほとんど覚えていない」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは、我々の脳が特に生後1~2年の時期において、経験からの情報を十分に定着させることが難しいとされています。
その背後には、情報の取り入れに関わる海馬がまだ完成されていないという生理的な理由があります。
生まれたばかりの頃から脳は驚異的な発達を遂げていますが、海馬は生後数か月から数年かかって発達します。
海馬は新しい情報を処理し、一時的に保持するための役割を果たします。
しかし、生後1~2年の時期には海馬がまだ完全に発達しておらず、それに伴って短期記憶から長期記憶への変換が難しくなります。
この期間に経験される様々な出来事や刺激は、脳にとって重要な学びの素材であるにもかかわらず、その多くは記憶の役割を果たせずに過ぎ去ります。
この事実は、子どもたちが環境から学び取る能力が成熟するまでのプロセスを示しています。
このブログでは、生後1~2年間の脳の発達と記憶の形成に焦点を当て、その後の発達にどのように影響を与えるかについて探求していきます。
子どもたちの成長を理解し、適切なサポートを提供する上での洞察を得る手助けとなればうれしいと思っています。
子育てをしながら働くママに知ってほしい赤ちゃんの成長の凄さをしって育児に役立てて頂ければ幸いです。
【このブログの運営者】
・40代女性精神科ナース現役30年。
・子育てと仕事を両立。
現在は子育てが一旦落ち着き過去の子育ての体験もまじえブログをかいています。
精神科看護師の視点で解説する学習機能と記憶の成長
シュミレーションの様なことをするためには連合野が働かなければなりませんが、連合野が動き出すのは3~4歳といわれています。
しかし、生後8か月前後に見られる人見知りや、「いないいないばあ」遊びを楽しむことができるのは、親の顔を記憶しているということで、短い時間であっても、経験を保持する行動を示している事になります。
幼児の成長~生後2年間で身体の学び舎
生後24ヶ月の幼児は、まるで小さな探検家のように、身体を使って世界を学び始めます。
手や足を動かし、物を触り、歩き始めることで、彼らは身体のさまざまな動きを習得していきます。
この時期の成長は驚異的で、物を掴む方法や歩く際の筋肉の協調など、様々なスキルを身につけていくのです。
物を掴むにはどうするか
幼児が物を掴む際、手の指や手首、腕の動きが重要です。彼らは対象物の形や大きさに合わせて手の使い方を学び、徐々にコントロールを向上させていきます。
このプロセスは単なる動作だけでなく、物の特性や形状に対する理解も深めていく重要な過程です。
歩くときはどの筋肉を協調させるか
歩くこともまた、身体を使った重要な学びの一環です。幼児は足の筋肉や関節を強化し、バランス感覚を養いながら歩行スキルを向上させます。
初めての一歩から、安定感を得て自由に歩くまでの過程では、脚の筋肉や脳との連携が不可欠です。
感覚と運動の一致
幼児期には、人間や物はそれ自体では存在せず、幼児がそれに対して行う「感覚⁼運動行為」に結びついていると言われています。
言い換えれば、彼らは五感を通して得た情報を基に、身体を動かして世界を理解していくのです。
この経験は、非宣言的記憶とも呼ばれ、言葉では表現しきれない程の豊かな学びを提供しています。
この期間の発達は驚異的であり、親やケアギバーはその成長をサポートする大切な存在です。触れること、見ること、動かすこと―すべてが身体を通しての学びなのです。
生後24ヶ月の幼児と共に、彼らが自分の身体を通して得る素晴らしい冒険を共有していきましょう。
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記憶の奥深さ
記憶の奥深さについて
生後24ヶ月の特徴と大人になってからの影響
生後24ヶ月の幼児期は、記憶の形成において非常に興味深い時期です。この時期における記憶の特徴が、将来の発達や学習にどのような影響を与えるのかを探りながら、我々は記憶の神秘に迫ってみましょう。
生後24ヶ月の記憶の特徴
私たちが毎日の日常生活で自然に繰り返されることこそが大切ななります。毎日の時間が子どもにとって大きく影響していることがわかると思います。
非宣言的記憶の発達
生後24ヶ月までに、幼児は主に非宣言的記憶を発達させています。これは、言葉では表現できない感覚や経験に関連する記憶です。例えば、物を触れる感覚や特定の状況での感情などがこれに該当します。この非宣言的記憶は、生後2年間の濃密な体験から得られ、後の発達に影響を与えます。
感覚と運動の一致
幼児は五感を通じて得た情報を、身体の動きと結びつけて覚えます。例えば、物を触ることや見ること、動くことが、感覚と運動の一致を生むことで、より深い記憶を形成します。これにより、彼らは環境を理解し、学びを進めていくのです。
繰り返しの重要性
生後24ヶ月の幼児は、繰り返しを通じて情報を定着させる傾向があります。同じ体験や活動を何度も経験することで、その情報が長期的な記憶として蓄積されやすくなります。親やケアギバーは、繰り返しを通じて積極的に幼児と関わることで、記憶の形成をサポートすることができます。
大人になってからの影響
基盤となる経験の影響
生後24ヶ月までの経験が、将来の学習や行動に大きな影響を与えます。感覚と運動の一致を通じて得られる非宣言的記憶は、大人になってからも基盤として機能します。例えば、特定の状況での感情や直感的な反応など、幼児期に培われた記憶が日常の判断や行動に影響を与えることがあります。
学習の促進
生後24ヶ月までに培われた記憶の特徴は、学習能力を高める要因となります。幼児期において繰り返しの中で学んだことは、将来の学習においても柔軟性を持って活かされることがあります。また、感覚と運動の一致がもたらす身体的な理解は、後のスポーツや芸術などの活動においてもプラスの影響を及ぼすでしょう。
結びつけられた未来への一歩
生後24ヶ月の幼児の記憶の特徴は、彼らが将来の発達や学びにどのように影響を与えるかについての一端を明らかにします。
感覚と運動の一致、非宣言的記憶の発達、繰り返し学習の重要性―これらは、彼らが歩み始めた未来への一歩を支える重要な要素となるでしょう。
私たち親は、幼児期における積極的な関与を通じて、健全な記憶の発達を促進し、将来の可能性を広げる助けとなるでしょう。
精神機能の発達:記憶の奥深さと時間の影響
私たちの精神機能は年齢と共に進化し、その中でも特に言語機能の獲得は飛躍的な発展を見せます。
この発展に伴い、短期記憶の段階での情報処理方式が加齢に応じて変化し、その効率の差が発達の差を反映するとされています。
言語機能の飛躍的な発達
言語機能は精神機能の中で特に重要な役割を果たします。言語を獲得することで、私たちは思考を整理し、情報のやり取りを行い、社会とのコミュニケーションを深めることができます。幼児期に言語を習得することは、その後の発達においても大きな影響を与えます。
短期記憶の発達と情報処理の変化
短期記憶は情報を一時的に保持する能力を指し、その発達は年齢とともに変化します。
極端に短い記憶の場合、同時入力が年齢とは無関係に同じ効果をもたらしますが、それ以降の時間経過の中で、入力情報が符号化されたり、群化されるなどの処理が行われるようです。
処理方式の効率と発達の差
この処理方式の効率の差は、発達の差を反映していると考えられています。
つまり、同じ情報を処理する際に、効率的に記憶に定着させる能力には個人差があり、これが発達の差につながるのです。例えば、情報を速やかに符号化し、長期記憶に移すプロセスにおいて、個々の違いが影響を与えます。
質的な発達と量的な発達の関連性
記憶の発達は、質的な発達を基礎としています。言い換えれば、情報を保持するだけでなく、その情報を効果的に処理し、組織化する能力が重要です。量的な発達は質的な発達に裏打ちされ、情報の取り扱いにおいて効果的な結果を生むのです。
まとめ
言語機能の飛躍的な発達と短期記憶の処理方式の変化は、精神機能の中での発達を象徴しています。
言葉を使って思考を整理し、情報を処理することで、私たちはより高度な認知機能を発展させていきます。
処理の効率の差が発達の差を示唆していることからも、個々の精神機能の発展に対する理解とサポートが、個人の可能性を広げる重要な要素となるでしょう。
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